バレンタイン・デーの想い出
No.14 / 2008年2月11日配信
校舎の出入り口にある木製下駄箱。「付き合ってください」と書かれた手紙が入っていたことが、生徒間で大きな話題になった時代のことです。クラス仲間の誰がバレンタインのプレゼントを「誰から」もらうのか、熱のこもった視線が注がれた2月14日。2~3の照れ笑いをする男子生徒の仲間に入ることが出来ずに、まあいいやと通学自転車のスタンドを蹴り上げた高校2年の下校時間。
「あの、これ」と言う声に振りかえると、差し出されたのがふくらんだペーパーバッグ。赤くかじかんだ指の先には少しこわばった表情のポニーテールの女生徒が立っていました。その膨らんだ紙の袋は大きな割にはとても軽く、初めてもらうのに毛糸のマフラーだろうと察しがついたのが今でも不思議です。私は後頭部を手でポリポリ掻きながら受け取り、「ありがとう」と言いました。その娘はぎこちなく笑みをつくり、ぺこりと頭を下げると振り向いて小走りで校舎の中に戻っていったのです。遠くの教室からコーラス部の練習の声が聞こえていました。
「あの、これお父さんに」と、我が娘が手作りのチョコレートをくれた去年のバレンタイン・デー。おそらく、今年もそのパターンだろうけど、その日は秘かな想い出をたぐりながらの焼酎タイムの日になります。「お父さん何ニヤニヤしてるの?」と、妻と娘。伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」はチョコレートとの相性もバッチリ、試しても損のないことを付け加えておきましょう。