雨に消えた初恋

No.314 / 2016年6月11日配信

 雨音から始まるイントロ。そして印象的なキーボードと爽やかなハーモニーが続く、心に残る曲がありました。この「雨に消えた初恋(日本で1968年にヒット)」の雨は、日本の梅雨のような湿ったイメージの雨とは違う雨でしょう。公園で出会った娘に心を奪われたけど、雨上がりとともにその娘は消えていったよ、と爽やかに歌っているのですから。

 私の雨に消えた(初?)恋は梅雨末期の激しい雨の時期の記憶。思いをどうしても伝えられないもどかしい高校時代。想いを寄せた女生徒は自転車通学でしたが、その日はちょうど雨の予報からかバス通学。偶然にも、クラスが違うその女生徒の後ろ姿を見つけた放課後の喜びは、今でも忘れることができないくらいのものでした。

 彼女は校門を出る頃、急に降り出した雨に、学生鞄を頭の上にかざして駆け出しました。高校前のバス停留所はすぐそこなので、傘をさすまでもないと思ったのでしょう。しかし、屋根付きの停留所に着くなり、そこにいた男子生徒にあいさつをしています。顔の様子はうかがえなかったものの、なんだか楽しそうに話しているではありませんか。

 私はショックを受けました。急な雨以外、彼女のもう一つの「駆け出した」その理由に。不思議なのが、前述のカウシルズの雨に消えた初恋という曲がその思い出と結びついていることです。その歌の方が数年早く聴いたものなのに、なぜか重なるのです。梅雨に飲む伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」は、時には切ない思い出も運んでくれます。切なくなるけど、大切な時間です。

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